最近なかなか寝付けないな...。
睡眠不足だと身体にどんな悪影響があるんだろう?
睡眠負債と身体にもたらす悪影響について解説するね!
本記事の内容
・睡眠不足が与える悪影響とは
・睡眠負債と睡眠障害の関係
・睡眠時間は長い方がいいか
・睡眠負債を解消する4つのポイント
目次
睡眠負債とは?
睡眠負債とは、慢性的な睡眠不足の状態が続き、その負債が蓄積されて心身へ支障をきたしている状態のことです。 適切な睡眠時間には個人差があり、年齢や季節によっても変わりますが、一般的には6.5時間~7時間程度とされています。
さほど気にしていなかった睡眠不足でも、長く続けば借金のように大きな負担になってしまうことを「負債」という言葉で表現しています。
日本人が『睡眠負債』を抱えやすい原因とは
OECDの2021年の調査報告では、加盟国30か国中で日本人の睡眠時間は平均7時間22分でワースト1位でした。
中でも女性の睡眠時間が特に短く、原因として考えられるのは、ホルモンの変動、妊娠、出産、更年期などの女性特有のライフステージに伴う「ホルモンバランスの変化」が睡眠に影響を与えることがあり、さらに仕事以外にも家事や育児などが山積みで、睡眠時間を犠牲にせざるを得ないことが挙げられます。
また、長時間の通勤による影響やスマートフォンやPCなどの普及による夜型の生活、仕事のストレスからくる不眠も関係しています。
睡眠不足が与える悪影響とは!?
睡眠負債になると、精神的また肉体的にもさまざまな不調が現れます。
心身の不調が現れる
その一つに「自律神経」の乱れがあります。
自律神経は互いに相反するはたらきを持つ「交感神経」と「副交感神経」に分けられます。
通常、体が活発にはたらくときには交感神経、リラックスしているときには副交感神経が活発になります。
しかし睡眠不足によりこの2種類の神経のバランスが崩れてしまうと、身体の機能を適切に保つことができず疲労感や倦怠(けんたい)感、イライラなどが現れてしまうのです。
さらに睡眠不足が長期間持続すると、不安定な感情が押し寄せ、抑うつなどの精神的な不調のほか認知力や判断力の低下にも繋がってしまいます。
生活習慣病などの病気のリスクを高める
睡眠負債は心身の不調をもたらすほか、肥満や高血圧などの生活習慣病を含む病気の発症リスクを高めることも分かっています。
高血圧や不整脈は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こる症状の一つです。
また、睡眠不足により食欲を抑えるホルモンである「レプチン」の分泌が減少し食欲を増大させてしまう可能性もあるといわれています。
そのため、食べ過ぎによる肥満や、肥満が原因となる生活習慣病を引き起こすリスクにもなってしまうのです。
日中の眠気による事故やミスを招く
睡眠負債や後ほどご紹介する不眠などの「睡眠障害」による日中の眠気は、仕事中の作業能率や注意力の低下を招いてしまいます。その結果、人為的ミスによる事故のリスクを増大させてしまう恐れもあります。
特に持続的な注意力を必要とするタスクでは、数時間の睡眠不足であっても影響が出る可能性が指摘されています。論理的推論や複雑な文の解析、柔軟な思考スタイルなどが求められるタスクにおいては、一晩だけの睡眠不足であっても脳の活性化が妨げられ、普段どおりのパフォーマンスを発揮できないとされています。
また産業事故が世界各地で起こっており、日本でも長距離ドライバーや運転士の居眠りによるトラックや鉄道の事故が問題になりました。
高齢の方が自分自身の認知機能の低下を自覚せず事故を起こしてしまうのと同様に、睡眠不足による認知機能障害も、多くの場合本人は自分の認知機能の低下を自覚していません。つまり、「睡眠時間が少なくても眠くならないから大丈夫!」という思い込みは大変危険であるということです。
たかが数秒と思うかもしれませんが、自動車運転中に数秒間でも眠れば、事故に繋がる可能性は十分あります。睡眠不足の際には運転を避ける、運転の前には睡眠をしっかりとることを意識してください。
睡眠負債と睡眠障害の関係は?
心身に悪影響を及ぼす睡眠負債ですが、「睡眠障害」もまた、さまざまな問題を引き起こす原因の一つとされています。
睡眠障害というと「不眠」が思い浮かぶ方もいらっしゃるかもしれませんが、昼間の強い眠気や、睡眠中の起こる病的な運動・行動、睡眠リズムの乱れなども睡眠障害に該当します。
寝付きが悪い、睡眠が浅いといった場合には、睡眠障害に陥っている可能性も考えられますね。
こうした症状のために睡眠不足が続き、睡眠負債を抱えてしまう可能性もあります。
自分の睡眠の状況を把握し、なんらかの問題が続いている場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。
睡眠時間は長い方が良い?
睡眠負債に陥らないためには、たくさん寝たほうが良いのではないかと思いますよね。
しかし睡眠時間は長ければ良いというわけでもありません。
年齢や季節によっても睡眠時間は変わってくるといわれています。
適切な睡眠時間については、いろいろな研究結果から、6~8時間が目安といわれています。しかし、一人一人の体質や生活内容で大きく異なるため、自然に眠れて、日中眠くて困ることがない程度の時間を目安にするのがよいでしょう。
「最低でも8時間は眠らないといけない」と、眠る時間を気にしすぎると、かえってそのプレッシャーから眠れなくなってしまう場合があります。
“長い間布団に入っていても眠れない”と悩むことも不眠につながるので、睡眠不足の解消には、自然に眠くなる時間に寝床に入りましょう。
睡眠負債を解消するための4つのポイント
自分にとって適切な睡眠時間を知る
「最初に、自分にとって適切な睡眠時間を把握する必要があります。適切な睡眠時間とは、『日中に眠気がなく、活動に支障が出ない睡眠時間』ということで、個人差は大きいです。
自分に適した睡眠時間の見つけ方
・次の週は15~30分ほど睡眠時間をのばし、体の変化を確かめる
・もっと眠れそうであれば、もう15~30分ほど睡眠時間を延ばしてさらに1週間ほど過ごす。例えば6時起床、0時就寝時間の場合、日中の活動に支障がでるようであれば、寝る時間を23半に前倒しして布団へ入る、さらに23時というように段階的な調整をしていきます。
適切な睡眠時間は日中の作業内容や活動量によっても変化するので、自分に適した睡眠時間を知るようにしましょう。
質の良い睡眠をとる
<環境>
・照明は優しい暖色を選び、できるだけ暗くする
・寝返りをうてる大きさの寝具を選ぶ(寝返りはレム睡眠とノンレム睡眠のスイッチになる)
・好きなアロマを使う
・掛け布団を軽いものにする
<行動>
・就寝前の過食や大量の飲酒を控える(アルコール摂取は眠くなるけど、途中で目が覚めたり、起きるのが早くなる)
・就寝前のテレビ鑑賞やスマホ使用を避ける
・心地よい程度のストレッチを行う
・入浴してから布団に入る
・頭の中をオフにして布団に入る
また、不眠症の人に特に多いのが、明日のことを考えて眠れなくなケースがあるので、眠る前はできるだけ頭の中をオフにして布団に入るようにしましょう。
睡眠の質を上げる生活習慣はこちらから
https://chorodiary0503.com/sleep/
光と夢をコントロールする
すっきり起きるためには、起床後明るい光や空間へ移動することが大切です。
朝の日光を十分に浴びると、寝つきがスムーズになる効果が期待できます。これらはいずれも、体内時計を調節して寝付きをスムーズにするための工夫です。 起床後に太陽の光を浴びると、眠気を誘発するメラトニンの分泌が止まり、その14~16時間後に再び眠くなるような身体の仕組みが分かっています。
また太陽の光を浴びることで生成されるメラトニンは、肌の細胞を美しく保つ働きがあります。 メラトニンは睡眠の質を高め、日中に受けた肌へのダメージを修復してくれます。 また、抗酸化作用があり、肌細胞の老化を防いでくれます。
また、嫌な夢を見ると目覚めが悪くなるため、悪夢を見ないようにコントロールすることも必要です。寝る直前にネガティブなことを考えることでストレスが生じ、悪夢をみる引き金となる可能性もあります。寝る前はできる限りネガティブ思考を手放すことが重要です。
10~20分程度の短い昼寝
『睡眠負債』の解消とまでは難しいかもしれませんが、昼寝のような超短時間睡眠には、認知症予防や学習効果の向上などの効果も期待されています。とくに眠気が生じやすい13時から16時の間の昼寝がオススメです。
ただし、たくさん昼寝をしているため夜に眠れなくなるケースもあります。昼寝の効果的な仮眠時間には、個人差がありますが10分~20分ほどが良いとされています。
昼寝をするために押さえておきたいポイント
- 深いノンレム睡眠が現れないこと
- 眠気の低減が認められること
- 起きたときにすっきりしており、作業効率が上がること
まとめ:睡眠負債が蓄積される前に早めの対策を
睡眠負債とは、睡眠不足が蓄積した状態で、心身の不調や生活習慣病の原因になるなど、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
睡眠は食事と同様に、健やかな身体をつくるとても大切なものです。睡眠が自分の身体にどれだけの影響を及ぼすのかをしっかりと認識し、日頃からきちんと睡眠時間を確保する意識が必要です。
また、慢性的な睡眠不足を解消するために、自身の睡眠について一度振り返ってライフスタイルを見直してみましょう。
だからといってたくさん寝ればよいのかというとそうではありません。
睡眠時間と同時に、睡眠の質も重要であるといえます。
この記事で紹介した4つのポイントを意識しながら、睡眠負債に陥らないための良質な睡眠を目指してみてくださいね。
ご自身の睡眠や睡眠環境、できれば普段の生活を見直すきっかけに、この記事を役立てていただければ幸いです。